才能と若さに嫉妬!?

suzume-smile2006-12-11

上原ひろみ ASIA TOUR 2006 東京公演@東京国際フォーラムに行ってきました!いやぁ、もう久しぶりに、身体中にショックを受けたような「痺れる感動」を味わいました。
9月にチケットが発売、先行予約の抽選に運よく当たったその席は前から10列目。「今年のツキはここでキターッ」ってな気分で。彼女のデビューCDを聴いて以来、一度はライブで聴きたいと思っていた。でも大学院在学中は、仕事がハードすぎて、大学院に通う時間の捻出で目一杯だったから。。。今回の幸運を神様に感謝した。
19時開演だけれど、10分押し。その間に会場内を見渡すと、結構Suzumeと同世代な人も多いし、白髪交じりの男性もちらほら。そんな中、ベース、ドラムスと上原ひろみが登場。楽器の前でポジションを取ると、会場内に緊張した空気が走る。固唾を飲む、その張り詰めた呼吸をおいて、始まった曲は…「Spiral」!Suzumeは、オープニングはこの曲だと信じていたけれど、CDとは全く違う導入になかなか確信がもてず…でも途中でメインの旋律が表れた途端、体の中心部分から何か熱いものが湧き上がるのを感じた。あぁ、何だか泣いてしまいそう。
2曲目「Summer Rain」の後、上原ひろみによる息を切らしながらのMC。これが、さっきまで天才的な演奏をしていたアーティストとは思えない、27才の恥ずかしがりやなオンナノコぶり。このギャップが実にキュートで、オジサマ達にはたまらないかも。
その後、「If」「Desert on the Moon」「010101(binary system)」と続いて、10分の休憩。隣席の友人ともども洗面所に立つのも忘れ、「凄すぎる…」。ちょっとお互いに感想が言葉にならない。
後半。ドラムスのマーティンが1人で舞台に戻り、ドラムを叩き始め、盛り上がって来たところで上原ひろみのピアノが入り、さらにベースのトニーが加わって、「Open Door - Tuning - Prologue」「Deja vu」「Reverse」「Edge」の4曲で構成される組曲が一気に演奏される。30分近く続く組曲をライブで、このテンションで演奏するなんて!!
ステージの上で、上原ひろみはピアノを演奏しながらも、時として腰を浮かし、立ち上がり、飛び跳ねたりして、持てる力と感情の全てを鍵盤にぶつける。そして、席が近いから分かったのけれど、彼女は演奏しながら結構、歌ったり唸ったり吠えたりする。本当にパワフルで、とてつもなくエネルギッシュ。
そして、この熱狂的な拍手を浴びた演奏に続けて、ピアノ1台で「Green Tea Farm」。さっきまでの激しい演奏からうって変わって、優しく撫でるような指遣いに柔らかな音色が流れる。
最後は「Kung-Fu World Champion」。ビートの効いた曲で会場を盛り上げる。さらにアンコールの「Joy」ではゲンコツでの演奏も。
ステージを観て思ったのは、ベースとドラムスとの呼吸の素晴らしさ。Jazzのライブは、そのアレンジやアドリブに醍醐味があるのだろうけれど、多分、ライブハウスで定期的に演奏するグループは概ねアレンジが決まっていて、ポイントでだけ視線を合わせて呼吸を一致させている印象がある。でも、上原ひろみはかなり頻繁にベースやドラムスを見つめる。時には鋭い視線(目ヂカラがあるからねぇ)で彼らの指先を確かめるように、でも大抵は笑顔で「行く?行くわよ!」と声を掛けているみたいな感じ。もしかしたら、ステージ上でのみ現れるアドリブが多いのではないだろうか。。。そんなことを思った。曲の合間でリスナー達が拍手するタイミングにバラつきがあったことも、そう思った理由だけれど(アドリブが多いと、どこで拍手すればいいのか難しい)。
それにしても、こんなに、こんなに、こんなに「音楽が生きている」ということを感じさせる、感動で涙が出てくるライブは久しぶり。上原ひろみと同時代に生きていて、彼女の音楽と、彼女の奏でる生の音と出会えて本当に良かったと思う。彼女がこれまでに創り出してきた音は、きっとこれからも現状にとどまらずに変化し、成長するに違いない。その進化を、そしてこれから新しく生み出すであろう音を、Suzumeは追い続けたい。
彼女の才能と感情や欲望をストレートにぶつける若さ。嫉妬なんてもんじゃない。ただただ、もう溜息。。。
最後に…彼女のファーストアルバムを紹介してくれた大好きな知人に深謝。
Another Mind Brain (Hybr) スパイラル・ツアー・エディション