バイアウト

本日発売の週刊文春にて、幸田真音さんの新連載「バイアウト」がスタート。主人公の身体的特徴や言葉の端々に、何となく○○氏を連想させる。
今、日本でも急成長しているバイアウト事業。Suzumeも全く無縁な世界にいるわけではないので、この世界を経済小説の大家としてポジションを固めつつある幸田さんがどのように描くのかとても楽しみだ。
Suzumeは幸田真音さんの小説が大好き。皆に「そこまで…」と笑われるけれど、実は単行本が出るたびにサイン会に足を運んでしまうほどのファンなのだ(笑)
有り難いことに、幸田さんも「あ、いつも来てくれてありがとう」と顔を覚えていてくださっている。
なぜ好きか?う〜ん、単純に「読んで面白いから」ではダメなのかな。
女性の作家は「女流作家」と言われることに抵抗があるだろうけれど(だって「男流作家」とは言わないものね)、私は幸田さんが女性だから「好き」なんだと思う。
経済小説を書く人はたくさんいるけれど、男性の書く作品は100%男性中心の視点で描かれているよね。女性は常に男性のアシスト的存在で、しかも主人公の不倫相手、みたいなポジション。設定として性的関係がないと週刊誌の連載で読者を惹き付け続けられないだろうけれど、フィクションだと判っていても、読んでいてその扱いの軽さが気になる。そういう書き方で男性サラリーマン読者には夢を与えられるのかも知れなくても(自分もちょいモテになれるのではないかってね)、頑張る女性サラリーマンには全く響かない。
その点、幸田さんが書いてきた小説では女性が主役ではないときでも、女性の位置づけがフェアな印象だし、女性の心理も丁寧に表現されているから読んでいて小説世界に素直に入っていける。
まぁ、「日銀券」は週刊新潮で連載していたから、最初のうちは男性誌向けの世俗っぽい書き方にはなっていたけれど。南アフリカ旅行中のlove affairみたいな、「そんな都合のよい『お楽しみ』が、転がり込んでくるわけないでしょう」的な演出ね(笑)
そうそう、幸田さんの小説のおかげで、Suzumeは勤務先で今の部門の仕事に関心を持つようになった気がする。何となく自分には敷居が高くてイマイチ興味を持てなかったのに、金融のリアルで先端の世界を素人でも楽しく読めるように書いてくれたから、「Suzumeでも勉強すれば、ひょっとしたらできるのかも知れないな」と思えた。
そんなに現実は甘くないけれどねー。
 
日銀券(上) 日銀券(下)