La Wally

久しぶりに観たジャン=ジャック・ベネックス初監督作品「ディーバ」。日本公開は1983年。もちろん、Suzumeはフランス映画を楽しむほど成熟していなくて、その頃は「アウトサイダー」に熱中していたような状況だから、リアルタイムでは観ていない。大学時代、授業をサボってキャンパス内のラボ(視聴覚室)でフランス語のヒアリングを兼ねてビデオを観たのが最初だ。後に「ベティ・ブルー」のヒットで日本でも多くの人に知れ渡るようになった同監督だが、デビュー当時から彼の「青」の映像にはインパクトがあった。
ストーリーは基本がサスペンスだけれど、随所に「スタイリッシュ」さが溢れている。
自分の歌の録音を許可しないオペラ歌手と、彼女の熱狂的なファンで、コンサートをこっそり録音する郵便配達夫。その録音テープが、犯罪に絡んだ証拠と勘違いされたために郵便配達夫は殺し屋に追いつめられていく。その基本プロットを肉付けする小物の使い方や舞台設定の絡ませ方が絶妙だ。オペラの歌姫(Diva)と彼女のアリア、主人公の恋、ガールフレンドにアリアを聴かせるヘッドホン、映画の鍵となるオートバイ、そしてパリの街並み。とりわけ美しいのは、朝靄の中で主人公とDivaが初めてデートする場面。ここでも例の「青」が素晴らしい映像効果をもたらしている。
映画の中でDivaが歌うアリアの1つが歌劇「ワリー」第1幕「さようなら、ふるさとの家よ」(試聴はこちらから→アヴェ・マリア~サラ・ブライトマン・クラシックス~ サラ・ブライトマン CDアルバム - Neowing)。Suzumeはラボで映画を観ていたときに、この曲を聴いて鳥肌が立つほど感動した。曲名も知らないまま、でもSuzumeにとって「女性ソプラノのアリアと言えば『ディーバ』に出てくるあの曲」という時期が長く続いた。その後、サラ・ブライトマンがアルバムに収録してくれたおかげで、ようやく曲名を知ることができたけれど。今日も映画を観た後、この曲を繰り返し聴いている。
ところで、上記リンクから試聴した人は「あれ、どこかで聴いたようなメロディー…」と思ったかもしれない。そう、それは気のせいではない。フジテレビ/「トリビアの泉」のエンディング曲。あれは、このアリアをモチーフにした「ロマンス」というトランスなのだ(http://www.universal-music.co.jp/classics/non_cla/cyberdiva/uccl1026.html)。さらにSuzumeは観ていないけれど、今年公開された映画「ハチミツとクローバー」でも主人公が絵を描いているシーンで「さようなら、ふるさとの家よ」が使われているらしい。まだ上映している映画館があるみたいだから、観にいってみようかなぁ。
ディーバ -ニューマスター版- [DVD]