芸術の秋

suzume-smile2006-09-30

せっかく天気が良いので、上野まで行ってきました。えぇ、もちろん、絵画展のために。
まず向かったのは、国立西洋美術館の「ベルギー王立美術館展」(http://event.yomiuri.co.jp/royal/index.htm)。フランドルの巨匠といわれる、ブリューゲルルーベンス等、クノップフのような象徴派、シュールレアリストのマグリットデルヴォーなどの作品が展示されている。
今まで意識していなかったけれど、ベルギーには長い美術の歴史があったのね。ベルギー絵画というとブリューゲルの印象があまりに強くて、落ち着いた色調で描写の細かい絵画とフランドル地方の気候の記憶が相俟って少々暗いイメージを抱いていたけれど、それだけじゃなかったんだ。知っている人にとっては「何を今さら」という感じだろうけれど、Suzume的には再認識ができて良い展覧会でした。
もちろん、その後は常設展示の松方コレクションを楽しむ(http://www.nmwa.go.jp/jp/html/collection.html)。携帯電話のカメラでパシャパシャと絵を撮っている人がいたんだけど、あれはいいのかなぁ。明らかに「カシャ」という音が響き渡っているのに、各部屋にいる係は何にも言わないんだよねー。
ここのコレクションで好きな作品はいくつかあるのだけれど、気に入っている絵はモネの「ウォータールー橋」。ロンドンの霧に包まれた憂鬱が柔らかい色彩で描かれているから。
そして、絵じゃないけれど必ず足を止めて見入ってしまうのがロダンの「接吻」と「永遠の青春」。この2作品については、ロダンの彫像の素晴らしさに感じ入っているというよりも、そこに表れているカミーユ・クローデルの当時の至福を想像して感激している、という方が正しいかも知れない。2人の瑞々しい愛が伝わってくるのはロダンの力量によるものなのだけれど。。。
次に向かったのは、上野の森美術館の「ダリ回顧展」(横浜にて夫婦揃って永久脱毛中!ヒゲとワキの写真も公開中)。これは、ダリの生誕100周年を記念した展覧会。ダリについては色々な物質がグニャリと柔らかくなったような絵のイメージが強いけれど、若い頃の作品には古典的な手法を用いた絵や後期印象派のような画風もある。私達がイメージしている科学的な表現様式が確立されるまでの試行錯誤の過程も見られるのが、1人の画家をフィーチャーした展覧会の良いところ。
Suzumeはダリの絵を見ても、そのトリックを読み解くことはできない。でも、彼の繊細で鋭敏な感受性と類稀な才能を感じることはできる。時空の歪みや人間関係における精神的確執を、物質の溶解や構造変化によって表現するなんてスゴイ。今この時代なら、デッサン力も想像力も乏しい素人でも(芸術的価値はさておき)CGで形を自在に変えることが可能だけれど、ダリは自分の頭の中でそういうグニャグニャに柔らかい(固定観念や常識に縛られない)発想ができて、その表現力もあったのだから。
展覧会の最後、出口にチュッパチャプスChupa Chups)のガチャガチャが置いてあった。このロゴを考えたのがダリ、というのは「トリビアの泉」でも披露された有名な話。