武士の一分

suzume-smile2006-12-01

本日より公開の映画。レイトショーで観てまいりました。時代劇でも「夫婦愛」がテーマなので、主役の木村拓哉だけではなく檀れいも映画の成否を大きく左右する存在。この2人の息が合っていたのが奏功。
映画の冒頭では、新之丞(木村拓哉)の風貌(幼く見える)や軽口の言葉遣いに違和感があった。所々に、現代っぽさ、“キムタク”っぽさが見え隠れして、私達がイメージする江戸時代の世界にすんなり感情移入していけないというか。その点では、役柄が首尾一貫している加世(檀れい)の存在に最初のうちは目がいってしまう。
でも、いつのまにか「木村拓哉」という存在感(オーラ)は消え、スクリーンには1人の盲目の下級武士しかいなかった。これまで、彼はどんな役もそれなりの水準で、でも自分のスタイルで演じる人だと思っていたのだけれど、本作品で彼の演技力の高さを認識した。
ストーリー展開に「あっ」と言わせる意外性はない。でも、そちらに気を取られない分だけ、新之丞の「守らなければいけないもの」「貫かなければならないもの」が確かなものとして伝わってくる。個人的には、緊張感ある殺陣のシーンをもう少しだけ長く見たかったかなぁ。
藤沢周平原作の三部作にふさわしく、今回も海坂藩の四季が作品の彩りを豊かにしていて、映像としての見所も多い。主演2人以外では、徳平(笹野高史)が出色。桃井かおりは、何を演じても「桃井かおり」から抜け出せない。坂東三津五郎は卑怯な悪役を好演、その存在感はさすがのもの。
原作が短編なので映画だと間延びするかと思っていたけれど、約2時間という尺はちょうど良く、集中して観ることができた。「たそがれ清兵衛」より見劣りするとしたら、今回の方が原作自体が地味なのと、殺陣のシーンの差であろうか。同じ藤沢×山田の作品、どちらも庄内弁という設定ではあるものの、主題が全く異なるので単純比較はできないけれど。
ちなみに、加世を追うカメラの位置が低くて彼女の「足の裏」がよく映る。その足幅が欧米人のように狭くて、マメもなくカサカサしていなくて綺麗なのだ。加世の首筋(首が細い!)と足裏が印象に残って、帰宅後、さっそく靴下を脱ぎ、自分の足の裏側を眺めて「…(^^;」。日本人の典型な幅広甲高は今さら直せないけれど、足の裏も手入れが必要だなぁ。。。