エッセーの力

今週の週刊文春

林真理子さんが連載しているエッセーで映画「オペラ座の怪人」を観てきた、と書いている。私の場合、彼女のエッセーが読みたいがために週刊文春を買っているようなものだ。
女性の微妙で美しくない心理をついた小説が多いけれど(でも私は今どき事情に関係のない『ミカドの淑女』が一番好き)、彼女の頭の良さやセンスが光るのはエッセーだと思う。 
今回のエッセーは映画の感想が書いてあるのではなく、クリスティーヌ役の女優の若さと美しさをキーワードに使っているだけ。でも、その女優の美しさを芸術的にではなくむしろ野次馬的に表現した8行を読んだだけで、私は「この映画を見なくては」と思ってしまった。林真理子さんの文章には、そういう力がある。
小説を連載している方には失礼だが、文春は連載小説よりも連載エッセーの方が面白い。
今週の室井滋さんの書いている内容は、ちょっと身につまされる。
そして山本一力さんの、ペンフレンド(今や死語かも知れない)との温かい交流を書いた1ページは、文通の経験がない私でもホロリとくる内容だ。