一雨ごとに近づく春

この時期、Suzumeの毎朝の楽しみは「梅の花」。家の前の道、曲がり角の家に小さいけれど梅の木があって、可憐なピンク色の花を咲かせているのだ。湯島の白梅も綺麗だし、越生の梅林も素敵だけれど、群生しているよりも薄いピンクの小さい花がポツポツと咲いているのが可愛い。それに桜は散るのが早いけれど、梅は意外と雨風に強く、色あせることもなく咲き続けている。そんなところも何だかいじらしくて、毎朝「今日も頑張って咲いているね」と心の中で話しかけてしまう。
花粉症がなければ、この季節がとても好きだ。まだまだ寒いけれど、晴れた日の日射しは確実に春が訪れていることを伝えてくれる。(でも実は3〜5月が一番、紫外線対策の必要な時期らしいから、喜んでばかりはいられないのだけれど)

増配の話

昨日の日記でフジTVの増配に触れたけれど、増配の理由は「安定配当型から業績連動型に修正し、株主還元の充実を図る」ため。それと、増配発表で株価が上がれば、ライブドアがフジTV株を購入するコストが上昇して、一定の抑止効果が狙える。…ということらしい。確かに、フジTVの株価は急上昇した。 この「増配発表をすると株価が上がる」ということがどういうことなのか、フジTVのケースから少し離れてお勉強の世界で考えてみると…
Suzumeが学校で勉強した企業財務の世界(実際はヘンな授業で理論をちっとも扱わなかったから自分でテキストを読みかじった知識)では、色んな制約条件を除外して考えると「配当政策の変更は株価に影響を与えない」ということになっている。これは「MM理論」と呼ばれるもので、結局、配当が実際に実施されるまでは、キャッシュを会社が持つor株主が持つ、この違いしかないのだから、配当を増やそうが減らそうが株価は変化しない、という話。
では、色んな制約条件がある現実世界では?
例えば、税金の存在はどうだろう。個人投資家の場合は、配当課税とキャピタルゲイン課税は税率こそ同じだけれども、後者は実現するまで課税を延期できるから、実効税率の観点から見れば、配当を低く抑えて内部留保を厚くした方がいい。でも法人は配当課税の方が低いから増配を歓迎するし、年金基金はそもそも非課税だからどちらでもよい、ということになる。したがって、税金の面だけでは、増配=株価アップ、とは位置づけられない。
でも、一般的には増配が公表されると、株価が上昇することが多い。これには「情報の非対称性」が関係している。通常、企業経営者の方が投資家よりも会社の事業内容や経営状態を熟知している(これを「情報の非対称性」と言っている)。そのため、配当の増減は、経営者から株主や投資家に対して発しているメッセージだとみなされて、株価が変動するのである。増配は、経営者が将来の収益見通しについて楽観的になったという意味だし、減配はその反対の意味である、と投資家が判断すれば、株価が上下する。日本では、利益変動に合わせて配当を決めるよりも、配当金を固定化した安定配当志向が強いため、増配は「経営者の将来見通しに対する自信」のあらわれ、と受け止められる。
ただし、内部留保も株主に帰属している利益であることを忘れてはならない。
有望な投資案件がある場合には、利益を事業に再投資した方が株主が配当金を運用するよりも収益率が高い、あるいは外部から資金調達する取引コストが節減できる、という観点から配当を低く抑えていることがある。
そういう成長企業がある時点で増配をしたら、それは業績に対する自信よりも、有望な投資機会が減少していることを表しているのかも知れない。
では、今回のフジTVのケースは??