あわれ彼女は娼婦

suzume-smile2006-07-06

(写真はe+に掲載されたものです)
本日、シアター・コクーンにて初日。で、観てきました〜。
深津絵里さん、大好きなんですよね。若いときから演技に安定感があって年齢不詳な感じ。目鼻立ちがはっきりしているし、カツゼツがいいから舞台向きだと思っていたし。以前、NODA・MAP「贋作桜の森の満開の下」で観た夜長姫、彼女の出す声がよく響くことに意外なほど驚いた。Suzumeは再演版(1992年)の毬谷友子が演じる夜長姫を生で観て、そのすさまじい気迫と妖気に完全にヤラレたので、正直言って1999年のフカッちゃんの演技にはその時ほどのインパクトを感じることはできなかったのだけれど。(耳男も野田秀樹ではなく堤真一だったし、全体の配役も関係していたのかも知れない)
チケットは、蜷川幸雄演出ということと深津絵里谷原章介というキャスティングに惹かれて購入。実は主役の三上博史氏、彼にはあまり注目していなかった。好きでもないし嫌いでもない、つまり特に関心がなくて、今まで彼が主演する映画やドラマも見た記憶がなく。。。あと顔立ちがあまり好きじゃないという単純な理由もあって。
ところがところが、蜷川作品で主演に抜擢されるだけのことはあるのだ。三上博史氏こそが素晴らしかった!
彼の演技如何でこの舞台の成否は決まる、と言ってもいい。しかも彼はそのプレッシャーに見事に応えている。ジョヴァンニの痛々しいほどに繊細な心の震え・畏れ・嘆きが伝わってきて、観る者を否応なしに中世イタリアの悲劇の舞台へと引きずり込むのだ。ジョヴァンニの魂が乗り移っているのではないかと思うほどの熱演でした。いやぁ、Suzume的には大穴。
もちろんフカッちゃんは期待を外さず、愛らしい妹を演じきっていました。声もよく通るし。一緒に観た友人は「あんなにアニメ声だったっけ?」と言っていたけれど、Suzumeはあの声だからこそ、純粋無垢さとあどけなさが表現できるのだと思う。そしてこの2つの要素はこの禁断の愛が待ち受ける悲劇的な結末に無くてはならないものなのだ。
谷原章介氏は、元々低くていい声質だし身長もあるから舞台映えするのだけれど、登場シーンが少ないのが残念だったかな。でも激昂する姿はテレビドラマではあまり見かけない(クールな役柄が多いからね)ので、今までとは違う一面を発見したような気がしました。そういえば、彼はフカッちゃんの元カレだったんだよねぇ(フジTV「恋ノチカラ」の配役でね)、などと余計なことを思い出してしまった(笑)
それと大事なのが舞台空間。シンプルだけど実に効果的に作られているので感動しました。無数の赤い縦の線と白いカーテンがイン・アウトの空間切替だけではなく、超えてはならない一線、純潔、血潮、そういうものを象徴しているようで。
当日は初日にふさわしく、原作の翻訳者である小田島雄志氏(夫妻)が来場、役者が多くのシーンで出入りする観客席中央通路の最前列に座っていました。演出家の蜷川幸雄氏はバックの音響席からジッと舞台を見つめていました(サインが欲しかったけど、近寄りがたくて断念)。
あと、Suzumeの数列前には、おちまさとさんが。さすがに舞台を観るときはサングラスを外すんでしょうねぇ。
次々号の「ぴあ」にでもコメントが載るのでしょうか…?
生公演が好きな人なら、とにかく多少高めでもチケットをYahoo!オークション等でゲットして観る価値アリ!!です。