ロココな世界

suzume-smile2007-02-11

気になっていた映画「マリー・アントワネット」(公式サイト:ノコギリヤシってサプリメントから摂った方が効率的)を観ました。Suzumeは小学生の頃、友達のお姉ちゃんに貸してもらった池田理代子さんの漫画「ベルばら」にハマって、当時は縦ロールのゴージャスな髪型とブリブリなドレスに身を包んだお姫様の絵ばかりを描いていました。さらに偶然にもシェーンブルン宮殿ヴェルサイユ宮殿を訪れる機会も得て、ますます熱が入り、遠藤周作さんの「王妃マリーアントワネット(上) (新潮文庫)」「王妃マリーアントワネット(下) (新潮文庫)」も読破。そしてブーシェフラゴナールの(今にして思えば不自然なまでに頬が赤いのだけれど)装飾たっぷりな絵を喜んで眺めていて。要するに、砂糖菓子のように甘ったるくて、色に例えればベビーピンクのような少女趣味な世界で遊んでいたのです(あくまでも一人遊びの範囲で。日常生活では男勝りで活発だったから外見と内面で激しいギャップがあったなぁ)。
この甘ったるさこそが、ロココ様式の特徴。18世紀のフランス、ルイ15世の時代に生まれたロココ様式は、先代ルイ14世の頃の動的で男性的なバロック様式に比して、優雅で女性的、曲線的なイメージ。自由奔放で享楽的な生活をのぞんだ貴族達にふさわしく優美で洗練されたスタイルでした。
この映画で、久々に甘〜いロココ調に全身ドップリ浸った感じ。でも、この映画のマリー・アントワネットの描写は斬新で◎。マリー・アントワネットは確かにワガママでプライドが高くて、そしてフランス革命時代の悲劇の象徴とも言える存在だけれども、私達が漫画でイメージを膨らませたマリー・アントワネットは、この映画で描かれている純真無垢な少女の心を持った女性に近いのではないでしょうか。
音楽の使い方もとてもよいです。ポップな曲が思いのほかロココな画面とフィットしていたし、でもジャン=フィリップ・ラモーのクラブサン曲も挿入する等、ちゃんと時代性も押さえています。
そしてSuzumeの度肝を抜いたのはロケーション。本物のヴェルサイユ宮殿で撮影しているのです!マリーがお嫁入りでヴェルサイユに到着した場面では「外観だけロケさせてもらったのかな」と思ったのですが、その後の部屋の場面もどう考えても本物。さすがフランス政府(観光局?)は太っ腹。映画を観終わってからプログラムを買って読んだら、さすがに調度品の使用は許可されなかったらしい(もし許可されても、それを使ったらさすがに色褪せ等の古さが目立つと思う)けれど、でも映画を観ているときは家具も宮殿の本物を使ったかと思うようなゴージャスさでした。
作品そのものに大きなメッセージはないです。平和を訴えるわけでもないし、明確な起承転結もありません。でも、マリー・アントワネットという女性に関心があるなら、お金を払って映画館で見るだけの価値があります。
ちなみに、映画で度々登場するカラフルで美味しそうなスイーツの数々は全てラデュレによる提供だそうです。Suzumeが先日、並んで買ったマカロンラデュレのマカロン - SUZUMEの日々Ⅱ)は、写真の通り(小さくて見づらいけれど黄色い矢印をつけているところ)、マカロンのタワーになっています!