印象派

suzume-smile2007-02-12

日本人はなぜ、あれほどまでに印象派の絵画を好むのでしょう。とりわけモネとルノワールが目玉の展覧会には人気が集中するのだけれど、暖色系の絵の具を使った輪郭の曖昧で優しいタッチが、日本文化の奥ゆかしさやに通じるものがあるのでしょうか。かくいうSuzumeも、子供の頃からルノワールの描いた少女の絵を「なんて可愛いんだろう」といつも思っていたし(この絵がプリントされたお盆が何故か家にあって、いつも台所で見ていた)、モネの「ウォータールー橋」が大好きで国立西洋美術館で企画展がない時期でも常設の松方コレクションを観にいくことがある。なんでなのかな、理屈ではなくて生理的と言うか感覚に訴えてくるものなので、うまく説明できないけれど。さらに、ここ数年では、ベルト・モリゾの母性あふれる絵に気持ちが吸い寄せられる感じがある。
先月から東京都美術館で開幕した「オルセー美術館展」。展覧会のポスターは、マネが描いたベルト・モリゾの絵。モネでもルノワールでもないし、ゴーギャンゴッホでもない、マネ。客足はどうだろう、と思いつつ(ちょっとは空いていることを期待して)、先日、平日の午後に出かけてみた。
いやいや、思いのほか混んでいて驚きました。平日午後でこんな調子だと、晴れた週末には「○分待ち」なんて入場制限があるかも。ダリ回顧展を観たとき(芸術の秋 - SUZUMEの日々Ⅱ)も1時間待ちだったけれど、こういうのもちょっと異常な感じがするなぁ。
この美術展も入場制限こそ無かったものの、各作品の前に3重くらいの人だかりができていて、一人静かに作品を鑑賞する環境ではなく、背中を押されるような気分で絵画を見て回ることになった。絵と直接関係ないことをグチャグチャ話しているカップルが傍にいたりすると、絵画と静かに向かい合う気持ちを邪魔された気分になったりして。
出品作品の中からSuzumeが絵葉書を買ったのは、ベルト・モリゾが実姉がゆりかごに眠る娘を見守る様子を描いた作品、マネが義妹であるベルト・モリゾの肖像を描いた作品、それからシスレーが洪水で水浸しになった町の風景を描いた作品。シスレーの風景画は人目を惹く華やぎはないけれど優しい明るい色調が好きなんですよね。